
核心場面だけを選んでみたところ、今は遅い展開に耐えられなくなった。 他の人々も同じだった。 最近、市場調査専門企業のエンブレイントレンドモニターが全国の成人男女1000人を対象に行った「映像コンテンツ早送り視聴習慣関連調査」の結果、回答者のうち69.9%は「早送り」で視聴した経験があると答えた。
ドラマの随所に暗示の場面を配置しながら念入りに撮った創作者は虚しいだろうが、今は速度は大勢だ。 10秒スキップと早送り機能のない劇場に行くのが難しいという人が増えている。 観客の忍耐力と没入度が落ち、2時間余りの長い呼吸の映画危機が加重されている。
長い中継放送に視聴率が落ちるスポーツにも速度の火花が散った。 試合時間を減らす新しいルールが続々と導入されている。 韓国プロ野球は今季から攻撃時間を短縮する「ピッチクロック」を正式導入した。 投手は走者がいない時は20秒、走者がいる時は25秒以内に投球しなければボールが宣言される。 打者も33秒以内に打席に入らなければストライクだ。
フィールドでも「亀ゴルファー」は許されない。 韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアーは昨シーズン、プレー速度違反によるペナルティーを強化した。 過去には1大会当たり「バッドタイム」(ショット規定時間超過にともなうペナルティー)が2回賦課されれば罰金200万ウォンを払わなければならなかったが、昨シーズンからは400万ウォンに増えた。 米女子プロゴルフ(LPGA)ツアーも今季からゴルファーに与えられた時間(40秒規定)を1~5秒超過してショットをすると罰金を科す。 6~15秒を超えると1罰打が与えられ、16秒を超えると2罰打が与えられる。
退屈なら生き残るのが難しくなった世の中で、ショートフォームコンテンツが氾濫している。 ソーシャル·ネットワーキング·サービス(SNS)で偶然に短くて強烈なショートフォーム·ドラマに捕まったことがある。 1分以内に結婚と不倫、復讐が吹き荒れた。 刺激的で扇情的な場面、虚を突く反転で目を離すのは容易ではなかった。 ショートフォームコンテンツ中毒が他人事ではないかもしれないという気がした。 実際、短い時間で新しい刺激を与えるショートフォームコンテンツは、快感を伝える神経刺激物質ドーパミンを多量に分泌するという。 しかし、ドーパミンが過剰に分泌されると、うつ病や不安症などの神経精神疾患が生じかねず、集中力が低下したり、記憶力の減退現象も現れかねない。
刺激は耐性ができてさらに強い刺激を望み「ポップコーンブレーン」を誘導できるという。 早くて強い情報には慣れ、現実世界の遅くて弱い刺激には反応しない脳をいう。
特に、10代が脈絡なく扇情的な映像に過度に露出すれば、リテラシーが低下する恐れがある。 もちろん大人も同じ。 「ドーパミン奴隷」になれば読書を遠ざけることになり思索する時間が減る。
超高速インターネット時代の「のろのろは失敗者」という認識も日常の時計の針を催促する。 韓国戦争後、圧縮成長をしながら「早く早く」文化が私たちの社会を支配してきた影響も大きい。
しかし、遅さは人生の余裕だ。 スピードを落とし、我々の周辺を振り返ってみても、方向感覚を失うことはない。 時々立ち止まって自分を再整備する時間を持ってこそ、新しいことに気づくことができる。 急いでいてあやまることが多々ある。 速いことより持続する力が重要だ。
[チョン·ジヒョン文化スポーツ部長]